~業務マニュアルの考古学~

業務自動化を図る際の
業務マニュアル分析の視点

Vol.014 2023年4月19日

デジタル化が進む昨今、弊社には業務プロセス管理(BPM)ツール導入における業務判断自動化の相談が増えています。

弊社では業務判断自動化に着手する際、エンドユーザーから対象業務に係る業務マニュアルを提供頂き、その分析を時間をかけて行います。業務判断自動化において重要なことは業務マニュアルに記載された手順をそのままソフトウェア化するのではなく、その業務における判断基準を抽出し、判断の基とするデータと判断結果を繋ぐ関係性として明示的に再整理することです。

業務マニュアルには「人が作業する手順」、プログラミング的に言えば「手続き」が記載されています。しかし、この「手続き」は人による恣意性がでやすいという欠点があります。同じ目的のプログラムを作成しても十人十色の記述になるのはこのためです。業務マニュアルの「手続き」は、たまたま記載されたタイミングで最良と思われたものというケースが多くみられます。
これは現代のようにビジネス環境の変化が激しく、業務における判断基準も高頻度で変化する状況では業務の柔軟性の阻害要因になります。

弊社が業務マニュアル分析を行う際は「関数」的な視点を用います。ご存じの通り「関数」は入力と出力、そして入力と出力との関係性を定義したものです。「関数」は「手続き」ほどに恣意性がでない(でにくい)という特徴があります。従って、「関数」的に整理しておくことで、業務の判断基準の変化に追随しやすくなり、業務の柔軟性が確保できます。

「手続き」的に記載された業務マニュアルから「関数」的な判断基準を抽出するステップは次の3つです。

  1. 業務マニュアルから判断材料(データ)とその判断材料を用いた判断を抽出する
  2. 個々の判断を目的毎に整理して判断基準として再構成する
  3. 業務を遂行するために判断基準を適用する順を決める

この作業は地味ではあるものの、膨大な「手続き」の記述の中から判断の断片を発見して、集めて、判断基準として組み立てていくプロセスは、まるで考古学者のような楽しさを感じることができます。

業務自動化は皆さんの関わられている業務でも急務なのではないでしょうか。
皆さんも業務の自動化に取り組む際には、ぜひこの業務マニュアルの考古学を楽しんでみてください。

弊社は、様々な業務分野で実績あるソリューションPoCサービスを提供しておりますので、お気軽にご相談ください。